呼びかけ

「安倍教育政策NO・平和と人権の教育を!ネットワーク」へご参加を呼びかけます

2006年、第一次安倍内閣は教育基本法を変えました。2013年、第二次安倍内閣は憲法を変えることを大きな目標にしています。既に安倍内閣は、日本が世界に向けて宣言してきた武器輸出三原則も非核三原則も反故にし、原発事故は今も多くの人を苦しめているのに原発の再稼働や輸出を進めようとしています。ここに人の生命や人権を守るという視点はありません。

安倍首相は、史実を認めず、河野談話・村山談話さえも否定し、日本の歴史を書き換えたいということを堂々と主張しています。このままでは、日本国内では日本軍「慰安婦」も米軍機墜落事故も放射能汚染もなかったことにされてしまいます。

 

安倍首相は、「強い日本を取り戻すためには、教育の再生が不可欠」と主張し、教育によって「国の型」をかえようとしています。安倍首相直属の教育再生実行会議は、教育委員会や教科書、学校の教育内容に直接国が介入・統制できるようにすることをめざしています。2月26日にいじめ問題の第一次提言を出しましたが、ここには、厳罰主義と上意下達を徹底すること、「道徳」を教科にして、国が決めた規範を子どもや教職員に押し付けることが盛り込まれています。学校現場を締め付けたり競争をあおることでいじめや体罰や暴力をなくせるのでしょうか。

提言には、上から言われたことには疑問を持たぬ人間、黙って滅私奉公する人間、すべては「自己責任」で済ませてしまう人間を育てる、という考え方が貫かれています。平和や人権はないがしろにして憲法改悪へ進むための教育を目指しているとも言えるでしょう。

また、安倍内閣は軍事費や大企業減税のための予算は増額し、35人学級実現のための予算を削りました。一人ひとりに目が行き届く学校はまた遠のきました。子どもが大事にされる環境作りは先送りして、家庭に子どもの問題の責任をおわせることで何か解決するのでしょうか。

 

主権は国民にあることをしっかりと自覚して、広い視野で物事を見、相手のいうことにも耳を傾け、歴史に学び、自分で考え判断できる人が育たなければ、日本は進むべき道を誤ることになるでしょう。山積する問題を武力で解決しようとする愚かな人を私たちは望みません。憲法を変え戦争のできる国をめざすのではなく、戦争をなくすにはどうしたらいいか真剣に考えられる人、世界の人々と対等に話合い、建設的な議論ができる人に次代を託したいのです。そのためには、安倍政権のめざす「教育再生」すなわち、教育を「国のため」のものにし、戦前型の教育に維新=復古することを許してはいけません。私たちは、子どもを権利をもった人間として大切にする教育を求めています。

 

安倍首相のやりたい放題を許していいのですか?

教育を「国策」のための道具として使わせないためにも、不幸な歴史を繰り返さないためにも、「安倍教育政策NO・平和と人権の教育を!ネットワーク」を立ち上げることにいたしました。大きな連帯をつくりましょう。どうか皆さんも私たちともに声をあげ、行動してくださることを、心から呼びかけます。

2013年3月

 

呼びかけ人

  青木 悦(教育ジャーナリスト)、有馬理恵(俳優)、安藤聡彦(埼玉大学教授)、池田香代子(翻訳家)、石井小夜子(弁護士)、井出孫六(作家)、上原公子(元国立市長)、内田 樹(神戸女学院大学名誉教授)、宇都宮健児(前日弁連会長)、大田 堯(教育研究者)、岡本 厚(前『世界』編集長)、小笠原彩子(弁護士)、勝野正章(東京大学准教授)、加藤彰彦(沖縄大学教員)、小森陽一(東京大学教授)、斎藤貴男(ジャーナリスト)、佐藤 学(学習院大学教授)、里見 実(教育研究者)、髙嶋伸欣(琉球大学名誉教授)、田代美江子(埼玉大学教授)、崔 善愛(ピアニスト)、中嶋哲彦(名古屋大学教授)、西野瑠美子(ジャーナリスト)、堀尾輝久(東京大学名誉教授)、山本由美(和光大学教授)、梁 澄子(日本軍「慰安婦」問題解決全国行動2010共同代表)

(2013年4月19日現在)